50兆円の市場規模。
これは日本における遺産相続市場の規模だ。
世界で最も早く超高齢社会を迎える日本。 遺言書や相続による寄付に、今、チャリティー業界が大注目している。この50兆円の僅か0.01パーセントでも寄付に回してもらえれば、莫大な資金となる。加えて、この市場で恩恵を被ることができるのは、弁護士や税理士、学校や病院、チャリティー団体と、限られていることも、さらなる熱を注いでいる。チャリティーの業界では遺贈または相続による寄付、などと呼ばれ、遺贈という言葉をパンフレットの全面に押し出している団体もあるが、あまりお勧めしない。一般的には遺贈という言葉は頻繁に使われておらず、分かり難いからだ。それより人生最後の社会貢献、というような分かりやすい言葉を添えてアプローチしたほうがインパクトもある。まだ規模が小さな団体も、中堅どころの団体も、この人生最後の社会貢献を得るために、今すぐ行動したほうがよい。大まかな3つの手順を記す。
◎パンフレットを作り、支援者へ配布する
パンフレットを読む方は60~90歳であると想定し、なるべく字を大きくして、分かりやすくする。難しい言葉は、なるべく簡単な言い回しに置き換える。そして、パンフレットを配布するときは、細心の注意を払うこと。 相続や遺贈に関する依頼を行うときこそ、も っともクレームをもらいやすいからだ。中には「こんなパンフレット送ってきて、私に死ねって言ってるのか!」というクレームの事例まである。パンフレットを送る際には、「相続に関する問い合わせを多数いただいており、今回パンフレットを送付する運びになりました」など、配布する旨を丁寧に説明した手紙と、次の項で説明する説明会の開催連絡の手紙を添えると良い。
◎説明会やセミナーを開く
遺言書の書き方セミナーなど、参加しやすい説明会にする。たとえ参加者が少人数でも開催し、参加者に、この団体なら支援したいと思っていただけるように、心のこもった対応をする。 参加者からは、アンケート記入や住所や電話などの連絡先はもちろんいただく。
◎電話や手紙で訪問につなげる
セミナーに参加していただいた方や、パンフレットを送付した際に、問い合わせがあった方へは、年に数回の電話や手紙を書くなどして、頻繁にコンタクトをとり、訪問につなげる。
◎訪問、感謝状贈呈、興味や意志の確認
訪問することに承諾をいただけたら、できれば男性と女性のペアで訪問する。男性2人組は威圧的にとらえられる可能性があるので、避けたほうが良い。訪問は、笑顔、 マナー、情熱を持ち合わせた、できればBCの経験がある者が良い。お会いしたら、まず心を込めたお礼から会話を始める。団体に興味や関心をいただけたこと、常日頃の支援、その方の支援により達成できたことなどを伝え、感謝の気持ちを表す感謝状やお礼状をお渡しする。お礼のあとの会話の中で、その方の興味がどこにあるか、なぜセミナーに参加したのか、なぜ寄付をしたのかなどを、丁寧に時間をかけて聞いてみよう。訪問ができなくても、電話やメールで、興味や関心を聞いてみても良いだろう。また、具体的に遺贈を考えているのか、今そのような状況にあるのか、このあたりの情報収取を行うことができれば、さらに良い。
◎その方の興味があるプロジェクトを企画する
その方がインドの子ども支援に興味があるなら実際にインドの企画を、その方とともに企画すると良い。規模は小さくても良い。一緒に計画することが大切である。その際に、プロジェクトのため必要な経費をあらかじめ伝えておき、その額の支援もお願いし、その方の冠が付いた企画にするのだ。共同プロジェクトを行うことで、コンタクト回数が増え、その方との距離がぐっと近くなるはずだ。 プロジェクトが完了したら、重ねての訪問とお礼を伝える。
◎コミットをいただく
遺言書に、寄付する旨をかいていただくことを、ここではコミットと呼ぶが、このコミットをいただけるように、訪問を重ねる。初回の訪問では、コミットを依頼せず、複数回の訪問を重ね、プロジェクトを成功させ、信頼関係を構築した上で、丁寧に遺言書での寄付が可能だとお伝えし、コミットをいただけるか、お聞きする。コミットをいただければ、数年後には、平均して400万円以上の大口の寄付をいただけることになるだろう。