民間の営利企業と非営利団体の大きな違いのひとつに、働く方のモチベーションの違いが挙げられる。日本人の多くは、民間の営利企業で働いているのだが、その方たちに次の質問をしてみてほしい。
「自分の利益より、会社の売り上げを、優先することができるか?」
正直な人にだけ、この質問をすれば、返ってくる答えは、NOが圧倒的に多いはずだ。自分の出世の為、自分のお金の為、自分の家族の為に働いている方が多く、だからこそ、尊敬できない上司からだされる納得できない命令に、仕方なく従いながら仕事をしているのだ。これが多くの方の正直な気持ちだろう。コンプライアンス上、こんなことは決して言ってはいけないのだが、上司である俺の命令に背いたら、給料上げねぇぞ、という圧力がグリップとなって、上司と部下の上下関係が成り立ち、ガバナンスが保たれている側面が強い。
ところが、非営利で働く者は、事情が異なる。社会改革を行いたい、という強い意志は、自分の利益より、他者の利益を優先することが多くあり、給料上がらないぞ、という圧力が効かないことが多いのだ。そんな非営利で働く熱い気持ちを持った職員をどのようにマネジメントしていくことが良いだろうか。ここでマネジメントは、人に自分の言うことを聞いてもらうための原理原則 「その人の望んでいるものを与えよ」に立ち返る必要がある。多くの非営利職員が望むもの、社会を改革して社会貢献したい、という強い意志を満たすことを考えるのだ。部下がプロジェクトに成功すれば、多いに誉めて、認めて、実績を分かりやすく可視化し、「あなたの頑張りで、これだけの人々に光をともすことができた」と、部下のモチベーションを上げていくことだ。
また、部下に限らず、フェイサー、テレマーケティングのスタッフ、ボランティアも、高いモチベーションがないと続かない仕事であるため、マネジメントは、すべからく関わる方のモチベーションを上げることに徹するべし。そのために大いに褒めよ、認めよ。