マネジメントの発明者として知られるピーター・ドラッカーは、多くの名言を残した。そのひとつに「マーケティングの理想は、販売を不要にするもの」というものがある。
営業や販売に力をいれなくても、商品やサービスが自然に売れていくシステムを構築すること、これがマーケティングの本質である、と解釈できる。寄付を集める行為にも、この視点を持つことが大切だ。
非営利団体で寄付を集めることは、民間の営利企業で物やサービスを顧客に売ることとは多少異なる部分はあるが、100年以上歴史のあるビジネスの世界から取り入れるべき効率的な手法は多くあるはずだ。民間企業でいう顧客を支援者やドナーとして置き換えて考えると、自然に支援者が増えるシステムを構築する、というマーケティングの思考を持つことで、寄付額の最大化を狙うのだ。戦略を練り、目的を設定し、分析を行い、実行し、成果を可視化し、改善を積み重ねていく。営利・非営利の違いはあるが、基本的な流れは、ビジネスの世界で頻繁に使われているマーケティングの手法と大きな変わりはない。
どうすれば寄付をしてくれるのか、寄付をした後はどのようなお礼をすれば良いか、活動の報告はどれほど頻繁に行うのが最良かなど、支援者視点を意識して活動を行えば、ドラッカーの言うところの、自然に支援者が増えて寄付が集まる、という環境に近づけるはずだ。